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Feb 8 th  Key Note Lecture

演者紹介・抄録

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運動惹起性プラセントカインの発現調節と経世代情報伝達

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体情報継承学分野 

楠山譲二テニュアトラック准教授(分野長)

抄録

ヒト疫学研究および動物モデル研究によって、妊婦の肥満や生活習慣が子の成人期の慢性疾患発症リスクに強く影響することが分かっている。この概念はDevelopmental Origin of Health and Disease (DOHaD)仮説と称され、2型糖尿病はその代表的疾患である。DOHaDの影響は、子が通常の生活習慣を送った場合でも覆すことが困難であり、重大な健康格差の原因となる。そのため親から子への肥満・糖尿病の負の連鎖を食い止めるためには、世代間の発症リスク伝播を解消する実践的手段を講じることが必要である。我々は運動が健康に与える多面的有益性に着目し、妊娠期の運動が母親の肥満による子への耐糖能障害の伝播を防ぐ作用があることを明らかにした(Kusuyama et al. Nature Metabolism. 2020)。更に、母親の妊娠期運動による子の糖代謝向上は、肝臓のエピジェネティクス変化によって誘導されており、母体の運動情報の子への伝達は胎盤から分泌される生理活性物質(プラセントカイン)によって仲介されることを同定した(Kusuyama et al. Cell Metabolism. 2021, Diabetes. 2022)。本講演では、妊娠期運動効果が子に及ぼす有益性とその分子メカニズムについて、最新の知見を紹介する。

演者略歴

2009年 鹿児島大学歯学部卒業

2009年 東京医科歯科大学歯学部付属病院にて臨床研修

2014年 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了

2014年 鹿児島大学大学院口腔病理解析学分野 助教

2016年 鹿児島大学大学院口腔生化学分野 助教

2017年 ハーバード大学ジョスリン糖尿病センター 研究員

2020年 東北大学学際科学フロンティア研究所新領域創成研究部 助教

2022年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体情報継承学分野 テニュアトラック准教授(分野長)

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