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May 10th

Research Presentations

​研究発表

研究発表1

高血圧性HFpEFの病態における腎交感神経求心路と圧受容器反射の役割

中島涼亮、篠原啓介、柏原宗一郎、池田翔大、松本翔、吉田大輔、小野義恭、中島光香、筒井裕之、絹川真太郎

九州大学大学院医学研究院循環器内科学

【背景】腎神経求心路刺激による交感神経出力の増加や、高血圧性腎障害による同求心路の活性化が示唆されている。腎神経求心路の入力先である延髄弧束核(NTS)は、圧受容器反射求心路の入力も受ける。圧受容器反射の機能不全は、交感神経活性化を引き起こし、正常心においても左室拡張末期圧を上昇させる。NTSのGABA系抑制機構は、圧受容器反射求心路からのシグナルを鈍化させ、交感神経出力亢進に働く。本研究では、高血圧性HFpEFモデルを用いて、腎神経求心性シグナルがNTSのGABA系抑制機構を介して圧受容器反射機能の低下や交感神経活性化をもたらし、HFpEFの病態に寄与するかを調べた。

【方法】雄性Dahl食塩感受性ラット(7週齢から8%高塩食)の9週齢時にsham手術(HS-Sham群)、選択的求心性腎除神経(ARDN)(HS-ARDN群)、ARDNに加えて圧受容器反射求心路の離断(HS-ARDN+BARO-X群)を行った。対照群には、低塩食を与えsham手術をした(LS-Sham群)。経時的に血圧測定と心エコーを行い、HFpEFを呈する19週齢時に血行動態評価(PV-loop)、心筋の組織学的・生化学的評価、および中枢性循環調節機構の評価を行った。

【結果】収縮期血圧は高塩負荷を行った3群で同様に上昇した(図A)。心エコーではすべての群で左室収縮能の低下はなかった。心エコーやPV-loopにより評価した左室拡張能は、HS-Sham群で低下し、HS-ARDN群で低下が抑制された(図B)。HS-Sham群でみられた肺うっ血や心肥大、心臓線維化は、HS-ARDN群で抑制された(図C)。NTSにおいて、GABAの産生酵素GAD67はHS-Sham群で増加し、HS-ARDN群で増加が抑制された(図D)。HS-Sham群で圧受容器反射機能は低下し、交感神経出力の中枢であるRVLMにおけるc-Fos陽性ニューロンや血漿ノルエピネフリンも増加したが、HS-ARDN群でこれらは抑制された(図E)。HS-ARDN+BARO-X群では、HS-ARDN群で改善した上記変化が全て阻害された。

【結論】腎神経求心性シグナルは、NTSのGABA系抑制機構を介して圧受容器反射機能の低下や交感神経活性化に寄与し、高血圧性HFpEFの病態に関与する。

​図
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