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Nov 8th  Key Note Lecture

演者紹介・抄録

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細胞外マトリクスを介した血管リモデリング機構

国立循環器病研究センター・先端医療技術開発部・室長

山城義人

 

細胞外マトリクス(ECM)は、ECMと細胞の相互作用を通じて、細胞内シグナル伝達を活性化する役割を担っている。血管では、血行力学応力に伴う血流や血圧といった力学的なシグナルへの応答が、血管壁の恒常性と病態発症に極めて重要な役割を果たしている。ECMが、メカニカルストレス応答時にどのように働くのか?また、それら細胞外環境の変化と血管壁のリモデリング機構がどのように連動性を持って、血管壁の恒常性を維持しているのか?については、まだ十分に理解されていない。我々の研究室では、大動脈瘤血管壁でメカニカルストレス応答を担うECMとして、マトリセルラータンパク質のThrombospondin-1 (Thbs1)を同定した(Yamashiro. Sci. Signal., 2015, Yamashiro. Circ. Res., 2018)。さらに、伸展刺激に伴って分泌されたThbs1が、細胞接着斑integrin avß1 を介してメカニカルストレス応答性の転写共役因子Yes-associated protein (YAP) の核内移行を制御することを明らかにした(Yamashiro. PNAS, 2020)。Thbs1欠損マウスでは、Thbs1/ integrin avß1/YAPシグナルが阻害され、圧負荷に対する大動脈の不適応リモデリングが生じ、大動脈の乖離が引き起こされることや、頸動脈結紮時の新生内膜増殖に関与することを明らかにした。最近の知見として、血管狭窄の原因となる新生内膜細胞が内皮細胞(EC)に由来することを明らかにし、部分的な内皮間葉転換(Partial EndMT)がその分子機序に関与することを明らかにしている(Yamashiro. Cardiovasc. Res., 2022)。本研究会では、血管壁の恒常性を担うECMの働きや、内皮細胞が平滑筋細胞様に分化転換するEndMT機構について最新の知見を紹介し、細胞がどの様に細胞内外の環境を認識し、多細胞システムを制御しているのか?について議論を深めたい。

略歴

2011年 琉球大学医学研究科 博士課程 修了 (医学博士取得)

2011-2014年 テキサス大学サウスウェスタン医学センター・ポスドク研究員

2014-2021年 筑波大学生存ダイナミクス研究センター・助教

2021-2022年 筑波大学生存ダイナミクス研究センター・准教授

2022年 (現職)

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